トップページへ戻る9月になって私立高校の入試説明会が毎日のように開催されている。
今週も、梅花・雲雀丘・履正社・追手門・大阪桐蔭と続き、
来週以降も毎日のように続く…!!


そこで一番の関心事は7月・8月、テレビや新聞紙上を騒がしたこれ‥
『「73人合格」実は受験生1人、
大阪の私立高が実績水増し』の
水増し疑惑…!!!
その内容は、
受験料負担が最初に発覚した大阪学芸高校(大阪市)は生徒30人が328学部・学科を受験。
生徒数、受験数ともに最多だった。
梅花高校(豊中市)では生徒5人の受験料を負担、1人の生徒が最も多い71学部・学科を受験。うち60学部・学科に合格していた。
この問題をめぐっては、大阪学芸高校(大阪市)が成績優秀な男子生徒1人に、
関関同立大の73学部・学科を受験させ、
合格後、激励金などを贈ったことが明らかになった。

その後、仁川学院(兵庫県西宮市)、神戸学院大付属(神戸市)、履正社(大阪府豊中市)の
私立3高校で発覚。
仁川学院によると、1月のセンター試験前に、国公立大や有名私大への進学を目指す
特進コースの生徒7人に「関関同立」大や甲南大を受験するよう依頼。
計約50学部・学科に出願させた。
7人は同校の5私大合格実績の約2割にあたる計28学部・学科に合格。
受験費用約100万円は校長が私費で負担した。
合格実績を上げるために4年前から行っているといい、
今後は中止する方針。
また神戸学院大付属では16年に1人(2学部)、18年に2人(7学部)、
19年には2人(14学部)の生徒が関関同立大を受験し、ほとんどが合格。
受験料計41万4000円は教職員の親睦(しんぼく)会費で負担したという。
山本康信校長は「合格実績を上げたかった」と説明している。
一方履正社では、8年前から毎年5〜10数人の生徒の受験料を負担。
センター試験方式と一般受験方式の両方で、1人あたり2〜10学部・学科に出願していた。
村瀬典弘校長は「経済的に苦しい生徒もおり、奨学金的な意味で受験料を負担している。
あくまで進路保証で、
合格実績の水増しとは思っていない」と強調。
出願先は生徒の希望に沿い、関関同立大のほか早稲田、慶応大なども含まれるという。
その後、大阪府は府内の私立高校101校の約3割に当たる31校が受験料を負担して
生徒に大学の複数学部・学科を受験させていたという調査結果を発表した。
さぁ、この記事のなかの2校(梅花・履正社)の説明会に行ってきた。
この大学実績にどのように変化が…??????
左が[サンデー毎日による大学合格者数]→[学校発表の大学合格者数]

■梅花高校(進学先人数に変更)
関西大学 [24名]→[11名]
関西学院大学[30名]→[7名]
立命館大学 [81名]→
[2名] (これが問題だなぁ…!!)
同志社大学 [0名]→[3名]
(注)同志社大学は指定校推薦数なので「サンデー毎日による大学合格者数」には計上されない
■履正社高校(入試検定料を補助した合格者数を除く)
早稲田大学 [8名]→[7名]
慶応大学 [5名]→[3名]
関西大学 [159名]→[137名]
関西学院大学[206名]→[182名] (
この数だとトップから3位に下がる)
同志社大学 [94名]→[85名]
立命館大学 [35名]→[42名] となった。
今回の件で何が問題か…??
我々の時代から、大学は複数受験していた。大学合格者数は全てを含んでいるというのは
誰もが知っていること。高校側の受験料負担が問題なのだ。
「他校でも行われている。特に近年、合格実績を急増させている高校は可能性が高い」し、
少子化を迎え、生き残りを目指す私立高にとって大学合格実績は大きな武器になっており、
「法的には問題ないのだから気持ちは理解できる」という声もある。
「合格実績は生徒の自己申告に基づくもの。ほとんどの学校が確認せずに発表している」
保護者やマスコミはこうした水増しされた数字をうのみにせず、
私学側も実合格者数や進学者数を列記して誤解のないようにしなければいけない。
この水増し事件を分析してみると、
◆背景に…進学校変身への「裏技」

私立高校が、生徒の受験料を負担して行った合格者の“水増し”は、
生き残りのために「進学校」に変身する“裏技”が背景にある。
「
合格実績を上げたい高校」「
受験生を集めたい大学」
「
少しでもいい大学を望む親」の連鎖がある。
◆特進コース

私立高が進学実績を作るためには「まず定員の1割程度の特別進学コースを作って
合格基準をぐっと厳しくする」、さらに特待生制度を設けたり、
少人数授業をしたり、冷暖房付きの校舎を別に建てるなど“特別待遇”で生徒を集める。
それでも初めは公立や私立トップ校の“滑り止め”である。
「合格者の90%は第1志望に行ってしまう。残った数%を大切に育てる」
特別カリキュラムを編成したり、予備校から講師を呼ぶなどして、ひたすら受験を意識付ける。
「関西だと関関同立、関東だとMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)を狙わせる。
これ以下だとアピールにならない」そして、大量受験をもちかける。
「特に特待生は、学校の世話になったという気分があるから断りにくい」といわれる。
水増しでも実績が上がれば、さらに優秀な生徒が入学してきて、
やがて早慶、東大を目指す「進学校」へ変身できるようになのである。
◆大学もおいしい

これを助長しているのが大学入試センター試験である。センター試験を利用する私大は
年々増加。平成19年度は450大学が参加している。
1度受験するだけで、後は各大学が判定するので生徒の負担は軽い。
センター試験は大学にとっても“おいしい”のだ。試験問題を作成したり、
会場を設営することなく、手数料1件570円をセンターに払えば採点データが提供される。
最初に発覚した大阪学芸高で73学部・学科に合格した生徒は、
出願も受験料も学校が負担していた。
埼玉・狭山ケ丘高校も大量受験にセンター試験を利用したことを認めている。
「合格実績を急増させた学校は同じようなことをやっている。
今回は中堅校が行き過ぎただけ」である。
◆経営環境

水増しの背景には、私立高校の経営環境の厳しさがある。東京都の場合、
17年度の私立高校234校の収入は1999億円。
うち647億円(32・4%)が都からの補助金である。
少子化に加え、公立の中高一貫校が相次いで開校、私立は独自性を失った。
さらに数年以内にすべての都道府県で学区制が廃止され、公立同士の競争も激化する。
「昨年騒がれた未履修問題と同じ成果主義が根っこにある」のである。
大学、高校に加え、特進コースを利用して「格差社会の中、子供に残せるのは教育だけ」と
少しでもいい大学へ入れたい親−この連鎖の中で起きた問題である。

『成長とは直線ではなく、らせんである』

人間は直線的に成長しない。回り道だと思っても基礎をきっちり築いていこう….!!!

